八王子の滝(はちおうじのたき)

三重県四日市市

四郷地区HP委員会 松本氏作成の写真/文を引用

私が高花平に移り住んで間もなくの頃、昔、高花平に滝があり修験者が行をしていたと聞いたことが有ります。また昭和40年当時、友達から高花の西の川で盆栽に使う、水ごけがあると聞いていました。この滝は今の一丁目西部の
西側にあったものだと思います。
今回高花平団地創設50周年記念誌編集にあたり、何か資料がないか調査していた時に、偶然、八王子町自治会長(山中周郎氏)と知り合い、資料があるので提供すると話があり、訪問して冊子「ふるさと八王子今と昔」お借りした。
読んでいると八王子の滝の記載があり、高花平と関係があり、興味深いと思いその記事を全文記載することにしました。
明治25年(1892)8月19日付「伊勢新聞」の記事に「一日の避暑地」との見出しで「北勢四日市より南西へ距る一里半三重郡四郷村大字八王子小林良助氏所有地に高二丈(約6m)程の瀑布あり」とあります。続けて「そこに行くには坂もあるが、泗水を発し日没の頃帰るならば格好の避暑地である。しかしあまり知られていないので、そこへ行く人は弁当を持って行かないと、空腹を感じ不便である」と書かれています。これは小林町の北側のあたりにあった滝についての記述です。また同年8月26日付けの「伊勢新聞」にも「小林野の滝」とあり「小林野滝は目下四日市より避暑に出掛ける者毎日50〜60人の多きに及び就中多きものは婦人にて賑合う由」との記事が記載されています。数日しかたっていないのに、どうした訳か連日人が訪れるような滝になっていることが大変興味深いと思います。おそらく、新聞記事に掲載されたことで、この滝が注目され、多くの人が避暑に来たものと考えます。
ただこの記事だけで、本当にこの滝に人が押し寄せたのか、疑問もありますが、明治38年(1905)9月の『風俗画報』という東京の書店が発行した雑誌にも、「諸国名所案内 八王子の瀑布」との見出しで「伊勢国三重郡八王子村の山中にあり(中略)されば四日市及び各地方より来遊する者多く、頗る賑やかなり、此の頃滝茶屋開かれて休憩に便なり」とあり、この時期にはこの滝が全国的に知られるようになった事がわかります。この記事によれば、四日市を中心として各地から多くの人が訪れその客を当て込んだ茶屋も作られたようです。

残念ながら この滝は現在なく、またいつ頃なくなったのかさだかではありません。栄枯盛衰のごとく当時栄えた、名滝は今は無く、滝道には雑木、笹が生い茂り滝壺まで行くのは困難です。しかし昭和の中ごろまでは名瀑があったと、古老より聞きました。子孫に申し伝えていきたいものです。
「八王子町自治会発行、ふるさと八王子今と昔」より

八王子の滝方面

参考にした資料

近くには

小林町公民館小林公民館泰龍寺・などがあります。

2012年11月28日:製作 2013年7月30日更新 四郷ホームページ作成委員会